熊野古道

 平成16年の7月に世界遺産に登録されたばかりの熊野古道を平成16年9月19,20日の二日間で歩いて来ました。高松を夜の11時に出て、熊野古道の出発地点「滝尻(たきじり)王子(おうじ)」に着いたのは朝の6時でした。一日目はここから宿舎まで20kmの山道を8時間30分かけて歩きました。

歩き始めは夜行バスで来たせいか、体が重くて「高原(たかはら)熊野神社」までの4キロの山道を2時間かけて登りました。

道中石畳の道が杉林の中に残っている所がありました。江戸時代には年間2万人の人が通ったと言われる古道だけに道は良く整備されていました。

途中「十丈(じゅうじょう)王子(おうじ)」や「牛馬(ぎゅうば)童子像(どうしぞう)」「近露(ちかつゆ)王子(おうじ)」が我々を出迎えてくれました。

道端には「蛍袋(ほたるぶくろ)」や「臭木(くさぎ)」「彼岸花」が咲いていて気持ちを和(なご)ませてくれました。

また最近立てられた道標がいたるところにあり道に迷う事はありませんでした。民家と思(おぼ)しき家に近づくと、そこは万屋(よろずや)でお酒から日用品まで何でも売っていました。この日の宿舎「のなか山荘」には2時半過ぎに着き、早めの夕食を摂りました。山菜料理でしたが、おいしくてご飯とビールをお替りしました。

二日目は「野中(のなか)の一方杉(いっぽうすぎ)」から「熊野神社」まで22.5kmの道程を8時間かけて歩きました。歩き始めて直ぐ藁葺(わらぶ)きの素敵な喫茶店を見つけました。

集落を離れて山道に入りましたが4時間余り人里に出る事はありませんでした。

途中「飯子菜(ままこな)」の群生地がありました。

山肌を縫うような道や、丸木橋の架かった道、杉林の中を歩いてお昼過ぎにやっと集落に出ました。目の前に忽然と現れたビール、アイスクリームの看板に吸い寄せられるように立ち寄り喉を潤しました。

心身とも疲れ切った頃、目の前に小さな森が現れ、木立の中を歩いていくと「熊野(くまの)本宮(ほんぐう)大社(たいしゃ)」の真ん前に出ました。

なんと鳥居も石の階段も通る事無く、いきなり本殿に出たのです。しかし大勢いた一般の参拝者はかなり長い階段を登ってから本殿に着いていました。

記念撮影の後「湯の峰温泉」で汗を流し、お土産を買ってからバスに乗り込みました。帰りのバスの中で熊野山地に沈む夕日を眺めながら心地よい疲れを感じていました。


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